枚方市議会議員 ばんしょう映仁です。
枚方市議会では、10月1日より決算特別委員会の審査がスタートします。このブログでは、令和6年度決算を分析のためデータをグラフ化して、私なりの考えをまとめてみました。
ここでは類似自治体との比較したいので、普通会計を使用していますので、広報ひらかたに掲載されている一般会計の数字とは異なります。
普通会計とは、地方公共団体における地方公営事業会計以外の会計で、一般会計のほか、特別会計のうち地方公営事業会計に係るもの以外のものの純計額です。個々の地方公共団体ごとに各会計の範囲が異なっているため、財政状況の統一的な掌握及び比較が困難であることから、地方公共団体の財政状況を比較するために地方財政統計上便宜的に用いられる会計区分です。枚方市では、一般会計、土地取得特別会計、老人保健特別会計のうち、重複分を控除し、目的分類の整理を行って普通会計を作成しています。
歳入額:約1,669.1億円、歳出額:約1,644.6億円
令和6年度は、歳入額:約1,669.1億円、歳出額:約1,644.6億円。昨年度と比べ、減少しましたが、コロナ前の令和元年度をはるかに超える額になっており高止まり、収支はコントロールされているように見受けられます。
実質収支 (約19.8億円) = 歳入額ー歳出額ー翌年度繰越額
着実に黒字が続いていることが分かります。これまでよりが、減少傾向にも見えます。
実質単年度収支 (約▲4.3億円)= 実質収支+地方債繰上返済額+財政調整基金積立額ー財政調整基金取崩額
実質単年度収支は、よりその自治体の実力に近い収支と言われています。コロナ予算が終わった2023年度に赤字に転落し、更に悪化。
実質収支比率 (2.3%)=実質収支/標準財政規模(おおむね3~5%程度が望ましいといわれています)
減少傾向が顕著になってきたように見えます。
積立金総額:約370.1億円(約1.0億円減)
財政調整基金:約144億円(約1億円減):財政運営を平準化するための貯金
減債基金:約68億円(約7億円増):市債の償還に必要な財源を確保するための貯金
枚方市駅周辺再整備推進基金:約70億円(約2億円増):新庁舎など事業基金
その他特定目的基金:約88億円(約6億円減):福祉基金など
ここまで新型コロナウイルス感染症拡大関連での国の補助金などで財政調整基金が増加してきたものの、今年度も減少しました。その他基金は若干の増加となりました。
枚方市においては、多くの基金があります。無駄遣いがないか、必要なときに使われているかという視点でも、チェックしていく必要があります。
地方債残高:約1,118億円(約20億円減)
臨時財政対策債残高:約567億円(約47億円減)
臨時財政対策債とは、国から地方自治体に交付する地方交付税の原資が足りないため、不足分の一部を地方自治体が借り入れする地方債です。なお、臨時財政対策債の元利償還金相当額は、その全額を後年度の普通交付税によって措置することとされています。令和5、6年度では、国の歳入が堅調だったことから、国策として大きく減少しています。
その他地方債残高:約551億円(約27億円増)
その他地方債残高では令和6年度は、東部清掃工場設備改良(約4.8億円)、京阪本線連続立体交差事業(約4.6億円)、枚方市駅周辺再開発関連(約4.6億円)、雨水ポンプ場耐震化・改築事業(約3.5億円)、学校施設改善維持補修(約19.6億円)、学校空調設備整備(約13.4億円)などが起債されました。
経常収支比率 =(経常経費充当一般財源等)/(経常一般財源等 + 減収補てん債特例分 + 臨時財政対策)
経常収支比率が、高いということは、義務的経費以外に使える財源に余裕がないことを示し、財政構造の弾力性が低いことになります。
市の自主財源を確保する方法が限られるなかで、国の幼児教育・保育の無償化などの扶助費の増加などによって、率としては、じりじりと確実に高くなっていっていることが分かります。令和3年度に極端に減ったのはコロナ関連で国が補助金を大盤振る舞いしたことによるものです。類似自治体と比べて、高いのは高齢化率の高さから来るものなのか。。。
経常収支比率とは:経常一般財源のうち義務的経費に充当される割合。
かつては、それが高いと財政運営が硬直的であるとされていた。現在では、投資的経費の財政需要が大きく縮小し、その反面で社会保障給付が増大しており、その結果、経常収支比率が上昇するのはむしろ当然であり、この値だけを持って財政が悪化した状態であるとはいえないと考えられている。
類似自治体:枚方市における類似自治体は「中核市」になります。
<引用>地方自治体の財政診断の考え方と課題 関西学院大学 小西砂千夫|総務省
類似自治体と比べると経常収支比率は依然として非常に高いと言えます。この比率からも、財政の弾力性が乏しく、将来の投資に向けるお金が少ないことを物語っています。これは、義務的経費の比率が大きいことも一因で、それは扶助費の比率が高いからと読み取れます。
扶助費の内訳として、児童福祉費の増加が顕著。児童手当の拡大などで13.5億円増、保育委託料の基準価格上昇により11.4億円の増加などが主な項目です。
また、社会福祉費としては、定額減税補足給付金27.7億円、低所得世帯に対する給付事業費20.7億円、障害者自立支援費12.6億円それぞれ増加しています。
今回は、副議長でもあり、決算特別委員ではないので、審議には入っていませんので、発言の機会はありません。
ただ、今回の決算の結論も「数字は確実に悪化している。猶予の時間はまた縮まっている。」という財政状況です。私としては、リスク・リターンを明確にし、メリハリを持って見極めていくことを更に求めていきたいと考えます。
引き続き、一人ひとりの笑顔を実現するために何ができるか。考えようによっては、まだまだできることがあります。皆さんのご意見も伺いつつ、政策を練りながら、大きな展開を創っていかねばなりません。