枚方市議会議員ばんしょう映仁です。
枚方市議会は、2025年9月29日全員協議会を開催。終日に亘り、「枚方市駅周辺再整備の取り組みについて」市から示された資料について、10人の議員が質問しました。
今回の記事では、質問の整理をしました。
- ④街区民間活力エリア(市民会館跡地)を売却前提から「定期借地」前提に変更
- ④街区のまちづくりをゼロベースで検討し直す
冒頭、市長からは、枚方市駅周辺再整備について、「令和4(2022)年9月定例月議会で位置条例案が否決されて以降、遅々として庁舎移転の位置が決まらず、まちづくりが進んでいないことについては、その責任は私にあると考えている。議会の皆さま、市民の皆さまに、率直にお詫び申しあげる。」などの挨拶がありました。
枚方市駅周辺再整備における取組については、令和4(2022)年9月定例月議会で、新庁舎の位置を⑤街区とする条例案が否決されました。その後、「市民への説明不足」や「公園・広場と民間活力導入エリアを分断する新たな道路のあり方」、「⑤街区庁舎の優位性の整理」などの指摘事項を踏まえて、市民説明会等を開催し、通過交通の抑制を図った新たな道路の提案などを行うとともに、市議会では、全員協議会等において、継続して貴重なご意見をいただいてきました。
また、本年(2025年)3月の定例月議会においては、「市役所の位置に関する条例の一部改正」について提案いたしましたが、市議会よりいただいた疑問・懸念のご意見を踏まえ、これまで以上に丁寧に議論させていただきながら、検討を重ねる必要があると考え、議案を撤回しました。その後、市議会の主催により、議員間の理解を深めることを目的とした「市駅周辺再整備に関する意見交換会」(以下、「意見交換会」という。)が開催されました。特に②④⑤街区の土地利用のあり方について議論され、市としてはいただいたご意見を踏まえ、様々な視点から検証を行いました。
今般、事業の実現性等の観点から、②④⑤街区の取組内容と今後のスケジュール及び概算事業費を作成しましたのでお示しします。併せて、その他の取組として、新庁舎整備基本計画策定作業や③街区の進捗のほか、再整備全体の事業費などについてご報告するものです。
新庁舎の位置については、④街区と⑤街区それぞれにメリット・デメリットはあるものの、⑤街区とした場合には、
- ④街区への民間活力導入による商業・業務・都心居住などの魅力を高める施設の誘導により、市内外から人を呼び込むことで、賑わいを生み出し、経済効果が期待できる
- ④街区の市有財産の有効活用(売却や定期借地など)による収入や、税収の増加が見込めることから、今後の様々な施策を展開するための財政好循環につながる
- 国の都市再生緊急整備地域の地域整備方針に適合しており、都市基盤整備において国費の有効活用が図れる
- 「広域緊急交通路」の府道枚方茨木線に接していることから、大規模災害時に、より効果的な防災拠点機能 を確保でき、市域全体の防災・減災性が向上する
などの優位性があり、総合的に検討した結果、本市としては、⑤街区への庁舎移転を目指すことが、本市が持続的に発展し続けるためにも有効と考えます
具体化を進めるためには、庁舎の位置がまちづくりの方向性を左右する大きな要素であることから、まずは、新庁舎の位置を確定する必要があります。このため、9月定例月議会にて、「市役所の位置に関する条例の一部改正」を提案します
枚方市駅南口駅前広場やサンプラザ1号館は、本市が市街地再開発事業によって整備してから約50年が経過しています。駅前広場は、公共交通や通過車両、送迎車両などの一般車に加えて、歩行者や自転車などの交通が輻輳し、慢性的な混雑が発生しており、サンプラザ1号館は、老朽化や耐震性の不足などの課題を抱えています。
市街地再開発事業により、駅前広場を拡充し、公園と連続した安全・安心な歩行者空間の形成や交通動線の円滑化、公共交通の利便性の向上を図ることで、歩行者中心のウォーカブルなまちづくりを実現します。併せて、現位置付近での生活再建を希望する地権者の意向を踏まえ、再開発ビルにおいて、都市機能を更新し、耐震性の強化を図るなど、災害に強い市街地の形成を促進します。
■概算事業費比較表
■今後の予定(主なスケジュール)
各議員の質問(要旨)
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④⑤街区について
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市民が共感できる物語性(ストーリー)が欠けていることこそが、市民の期待や共感を得られず、結果としてまちづくりの停滞を招いているのではないか?
⇐【市長】市民に親しまれている京街道や天野川、淀川などの地域資源と新たな都市機能を有機的につなぎ、歩いて楽しいまちづくりを実現したい。今後、これまで以上に、市民に共感をしていただけるように、「天野川のさらなる活用に向けたワークショップ」などを通して、取り組みたい -
④街区について、事業費・コスト面が優先順位高く設定されていると認識しているが、その部分がブレていないか?
⇐【市長】市民負担を少なくすることは重要だ。重要ではあるが、市民の夢、私達の夢を叶えることを優先して財政を超えて考えたい -
コスト面において④街区案より優位であると、これまでも説明を受けたが、なぜ優位なのか?
⇐ ④街区と⑤街区においては、土地区画整理事業による基盤整備を予定しており、都市再生区画整理事業による国費を活用できることに加え、都市再生緊急整備地域に指定されていることから、重点地区の要件に該当しており、国費の重点配分が期待できる。さらに、都市再生区画整理事業の対象事業費のうち市負担額については、その一部が交付税措置の対象となる起債の90%の充当が認められているなど、財政的な優位性がある -
民間活力エリアが売却ではなく定期借地になっても(上記)同様か?
⇐ 同様 -
国費の見込みについて不確実性を訴える声も聞くが?
⇐ ③街区は非常に高い内示率を確保している。引き続き、国費を最大限活用できるように進めていく -
⑤街区案の方が新庁舎は早く完成するのか?
⇐ ⑤街区での新庁舎案は、令和17年度中のオープンを目指している。対して、④街区の市民会館跡地付近に新庁舎を建設する場合は、オープンは令和17年度以降となる -
「ウォーカブルなまちづくり」とは?
⇐ 令和元年に国が打ち出した方針であり、「居心地が良い人中心の空間を創ると、まちに出かけたくなる、歩きたくなる。」との考えにより「居心地が良く歩きたくなる」まちなかをつくる考え方。ポケットパークやベンチなどの休憩機能の設置など歩行者空間の充実、周辺を含めた回遊性の向上、芝生やカフェ、椅子を設けるなど、そこに居たくなり、留まりたくなるような空間づくりを行う -
④街区の一部縮小による景観軸の分断はなぜ起こったのか?
⇐ 地権者との合意形成が得られないと判断した -
④街区と⑤街区をそれぞれ別の区画整理事業として国費は得られるのか?
⇐ 国の方針に適合している -
④街区市有地を売却ではなく、定期借地として検討しては?
⇐ 市場ニーズを確認しながら、売却ではなく定期借地を第一義とすることにしたい -
⑤街区の府民センター跡地は市が購入するのか?
⇐ 今回の案は新庁舎用地として取得する -
市民会館大ホール跡などは既に年間4,000万円の維持コストがかかっているが?
⇐ 早期事業着手に取り組みたい -
国との合同庁舎化の効果は?
⇐ 連携を進めている -
みどりの大空間は一時避難所の面積要件(1ha程度以上)を確保できるのか?
⇐ 岡東中央公園0.5ha、拡大区域0.5ha、市役所前0.2haで確保できる見込み -
④街区内を分断する道路はもっと工夫ができるのではないか?
⇐ ゼロベースで時間をかけて検討していきたい -
民間活力エリアを売却ではなく定期借地を前提にすることにしたとのこと理由は?
⇐【市長】直前になったが政治的に決断した。全員協議会作成後も熟考を重ねてきた。皆さんが納得できるまちづくりとするための決断だ
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市民が共感できる物語性(ストーリー)が欠けていることこそが、市民の期待や共感を得られず、結果としてまちづくりの停滞を招いているのではないか?
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②街区について
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市駅南口ロータリーの検討は?
⇐ 10月から詳細検討していく -
市駅南口ロータリーはイラストでは2つに分けるようになっているが?混雑しない?
⇐ 通過交通を抑制できることにより公共交通の利便性向上が図れる -
市駅南口ロータリーの交通事業者との協議状況は?
⇐ 今後ご意見を伺っていく -
外周道路とのセットでは?
⇐ 外周道路は緊急性が低いと考えている。整備の必要性を検討していきたい -
サンプラザ1号館の建替地を岡東中央公園内にしているが、みどりの大空間の増減は?
⇐ 公園面積は同規模となる -
市民説明は?
⇐ 必要に応じて行っていく
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市駅南口ロータリーの検討は?
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財政面について
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民間活力エリアが売却ではなく定期借地になった場合の『長期財政の見通し』に対する影響は?
⇐ 検討を深めていく必要がある
⇐ 他の投資事業の時期を変更するなど平準化してくことになる -
今回、『長期財政の見通し』を変更しなかった理由は?
⇐ 今回の資料では想定内と判断した
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民間活力エリアが売却ではなく定期借地になった場合の『長期財政の見通し』に対する影響は?
「(仮称)枚方市新庁舎整備基本計画」(以下、「新庁舎基本計画」という。)の策定に向けては、「枚方市新庁舎整備基本構想(令和3年3月策定)」などに基づき、現在、新庁舎に必要となる機能について、市民からアンケートや個別意見聴取などの様々な手法によりご意見を伺うとともに、先進事例の視察や有識者からの助言をいただきながら、庁内横断的なワーキングチームなどにおいて検討を進めています。
今後、新庁舎の位置が確定次第、庁舎機能に加えて、配置計画や事業手法、概算事業費などについて検討し、適宜、議会への報告を行い、ご意見を伺いながら、新庁舎基本計画素案の作成に取り組んでいきます。
③街区では、枚方市駅周辺地区市街地再開発組合(以下、「再開発組合」という。)により、枚方市駅周辺地区第一種市街地再開発事業を進められており、現在は、再開発事業における最終工事として、駅前広場の交通機能を確保しながら、枚方市駅北口駅前広場の拡張整備工事が行われています。
本工事については、令和7(2025)年2月の全員協議会において、地盤調査の結果、路床改良が追加で必要となったことや、令和7(2025)年度中の完成をめざすことなどをご報告するとともに、再開発組合と連携して、関係者との施工条件に関する協議を行うなど、工事スケジュールの見直しなどについて検討を進めてきました。
この度、再開発組合より、施工条件などの整理が出来たことから、施工業者と変更契約を締結し、工期末を令和8(2026)年3月31日とした旨の報告があったものです。引き続き、令和7年度末の完成をめざし、再開発組合と協力しながら、地元をはじめ関係機関との調整などを行い、工事中の安全を確保した上で、円滑な工事の進捗が図れるように取り組みます。
枚方市駅周辺再整備では、新たな都市機能と地域資源である天野川などを有機的につなぐことにより、歩いて楽しいウォーカブルなまちづくりを目指しています。これまでに③街区の再開発事業にあわせ、河川管理者である大阪府や地域団体などと連携し、景観整備などに取り組んできました。
本年度からは、天野川をさらに活かしていくため、かわまちづくり支援制度の活用の可能性などについて、大阪府との意見交換などを行っています。
今後は、同制度を活用するために必要となる「かわまちづくり計画」の作成も見据えて、大阪府をはじめ、地元や地域団体、事業者(川原町商店会、宮之阪中央商店街振興組合、地域DMOである一般社団法人くらわんか観光マネジメントなど)と連携し、年内にワークショップの開催を予定しています。こうした取組を通じ、天野川のさらなる活用に向けた検討を進めていきます。
各議員の質問(要旨)
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新庁舎は、分散している市の機能を集約することになるが、現状の検討状況は?
⇐ 今後、新庁舎整備基本計画を策定する中で、庁舎機能の集約について検討を進めていく -
ステーションヒル枚方につくった市民窓口や図書館、まるっとこどもセンターについて、開設後1年が経過し、複数の機能が詰め込まれた空間であり、市民のニーズに十分応えられていないとの声も聞いている。今一度、課題を解消するための再度の入替えも含めた検討をすべきと考えるが?
⇐ 市駅前行政サービスフロアの利用状況なども注視しながら、新庁舎整備基本構想で示す「新庁舎に導入する機能」などを基本として庁舎に必要となる機能や規模などについて検討を進めていく
再整備事業に関する概算事業費については、令和7(2025)年2月の全員協議会において、物価高騰などを踏まえ、改めて総概算事業費及び市負担額をお示ししました。
今般、「④⑤街区の変更案」などの状況を踏まえて、総概算事業費及び市負担額をお示しします。
今後、再整備事業の具体化を進めるために、令和8(2026)年度の債務負担行為として、市有地の有効活用可能性調査、及び、⑤街区の早期事業化に向けた地区界測量に係る枚方市駅周辺再整備調査設計等事業費、並びに、令和8(2026)年度、9(2027)年度の債務負担行為として、新庁舎基本計画の策定に必要となる配置計画や事業手法、概算事業費、事業スケジュールの検討などに係る新庁舎整備基本計画策定支援業務委託料について令和7年度9月補正予算への計上を予定しています。
各議員の質問(要旨)
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庁舎移転条例提出に向けて
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令和4年9月に否決となったときの案とほとんど変わらないのではないか?
⇐【市長】④街区のまちづくりは現段階での提案で今後も意見交換させていただきたい -
市長は「政治生命をかける」とも言っていたが、なぜ用地交渉に直接行かないのか?
⇐【市長】まちづくりはチームで行っており、役割分担がある。行きべきときには行く -
今議会で市役所庁舎移転条例が否決となった場合は?
⇐【市長】可決に向けて全力で努力する -
④街区のまちづくりをゼロベースで見直し、⑤街区への庁舎移転を確定するとはどういう意味があるのか?
⇐【市長】④街区は重要な位置であり公共施設の老朽化対策は必至であり、同時に賑わい空間を多く見出すことができる。そのためになんとしてでも⑤街区への庁舎移転が必要だ
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令和4年9月に否決となったときの案とほとんど変わらないのではないか?
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その他
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先日9月16日の、奥野議員の一般質問における新庁舎整備の一連の経過について、市長は『事実と異なる空想がいくつも含まれている』とされ、「市民のみなさんが誤解を招く」とのことで、遺憾の意を表明された。いくつも含まれているとされる事実と異なる部分はどこだったのか?
⇐【市長】まるで市が事実をごまかし、市民をだましているといったような発言があり、市民へ事実誤認を招くものであったと受け取っている。また、行政職員の努力を否定されるご意見であったことから、市長である私としても、大変、遺憾であるとお伝えした。ただ、「空想」という言葉を用いたことで、表現が強くなってしまった点は、適切ではなかったかもしれない -
市役所庁舎の移転、④街区のあり方について、市長の判断軸はどこにあるのか?
⇐【市長】公共施設の老朽化対策は必至であり、同時に賑わい空間を多く見出すこと。また様々な方々の意見を取り入れ、変更を行ってきた。今後も皆さまからご意見頂きながら進めていきたい
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先日9月16日の、奥野議員の一般質問における新庁舎整備の一連の経過について、市長は『事実と異なる空想がいくつも含まれている』とされ、「市民のみなさんが誤解を招く」とのことで、遺憾の意を表明された。いくつも含まれているとされる事実と異なる部分はどこだったのか?
今回の全員協議会では、市側の要請で開催されましたが、枚方市駅周辺再整備についてというものの、露骨に⑤街区への市役所庁舎移転条例の賛同を訴えるものになりました。私としては副議長という立場もあり、協議会で発言することは控えられました。
重大なものとして、全員協議会の質問答弁の中で、方針変更もありました。市有地の一部を売却を前提としたものから、定期借地を前提とするとされました。突然の政治的決断と市長は答弁しましたが、財政的な裏付けのない決断には落胆が隠せません。土地は資産とも言われますが、政治上売れない土地は本来的に資産ではありません。行政の土地での事業活動では、本気で、長期的に、まちに賑わいをもたらし、自らの商売を回していくディベロッパー、プレイヤーが現れないのではないでしょうか。さらに同時に実質上大阪府から北河内府民センター跡地を購入することとしています。そうした中、総合政策部長は、「財政規律を保つためには投資的事業を後回しすることになる(できなくなる)」との答弁もありました。人口が右肩上がり時代には許されたこういった長期財政を軽視した政治的決断は、今の右肩下がり時代には非常に危険だと考えます。こういった昭和の政治を変えてくれると思って市民は現市長に期待して一票投じてきたと私は考えているので、その市民の期待に逆行していることは非常に罪深いと考えます。
とはいえ、現在の市役所庁舎が老朽化していることは事実であり、その他周りには廃墟となった行政施設が増えてきており、残り時間が迫ってきている状況の枚方市。ゼロベースで何を決めるのか。。。残念ながら、未だに見えてこない、また遠のいたかも知れない一人ひとりの市民を今も未来も笑顔にする「まちづくり」。私としても建設的にやっているつもりですが、どのように考えていくか、粘り腰で、諦めず、役割を果たして参ります。
当日の映像が公開されていますので、貼っておきます。
何をこの市の、このまちの、核に据えるのか?そこを民間に決めてもらうのか?
何のための再整備事業なのか?
市民への「未来社会のデザイン」、「市民が笑顔になる提案」に力を注ぐべきだ!
枚方市駅周辺を「健康・スポーツ」のまちとして再開発することで、市民みんなを今も未来も笑顔にできる!
市民一人ひとりの笑顔につなげるため、丁寧な積み上げを!
9月には、枚方の未来「市民の笑顔」の姿を市民に示すこと!
市民や来訪者がワクワクとするような期待が持てる広場や歩道に!
市の責任と覚悟と戦略が感じられる熱い言葉で、枚方市の未来を語るべき!
10年後、20年後の枚方市はどうあるべきか、夢のある話を熱を持って語れ!